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ベルリン・フィルやウィーン・フィルと並んで、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は老舗中の老舗である。ゲヴァントハウスのブルックナー(ステレオ録音)が一般的に評価されたのはマズアの時代以降だが、忘れてはいけないのは、それ以前に名匠アーベントロートやコンヴィチュニーが先駆的な取り組みを行ったことであろう。
小生はブルックナーの版の問題に必ずしも敏感ではないが、マズアの録音が1974〜78年で、すでにノヴァーク版が主力になりつつある時期になぜハース版が多いのかの理由は、この伝統ある管弦楽団が永らく使ってきた楽譜がハース版であり、かつ更新する十分な資金にも当時乏しかったからではないかと想像する。
第1番のノイマン(1965年録音)はリンツ稿ハース版、第2番のコンヴィチュニー(1960年)は1877年稿ハース版、第3番ザンデルリング(1963年)は1889年版、第4番はその後のブロムシュテットもハース版、第5番は、アーベントロートもコンヴィチュニー(1961年)もハース版、第7番コンヴィチュニー(1961年)はハース版、第8番のアーベントロート(1949年9月28日)もハース版、そして、第9番のみはコンヴィチュニー(1962年)に続きその後のマズアも原典版となっている。
旧東独時代、外貨稼ぎの事情もあってか、マズアのブルックナーを世界に売り出す試みは成功し、深い響きと良き意味での古色蒼然たるハイマート感は日本でも話題となった。しかし、今日から振り返ると、その素朴ともいえる(しかし、たっぷりの)情感とぶっきらぼうとも思える非技巧性は、アーベントロート、コンヴィチュニーの伝統を引き継ぐものであると思う。ゲヴァントハウス管弦楽団のブルックナーは、その後も実に良い演奏が続く。歴史的には第7番の「初演オケ」には、連綿とし胸を張る伝統と各プレイヤーが引き継いできた楽器と音色に秘めた自信があるのだろう。それを最大限引き出したマズアの功績もまた大きい。
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