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ピアノ・ソナタ、6番までは作曲家自身によって、7番、9番はリヒテルによって初演された。つまりこれは作曲家公認の初演ピアニストによる曲集といえる。以下はもっとも有名な7番について。
本曲にはじめて接したのは、アルゲリッチ来日時のライヴにおいてであった。このパワー全開の難曲は女性には不向きと言われつつ、これをあっけらかんと弾ききった彼女には当時「女リヒテル」の異名があった。裏をかえせば、ご本家リヒテルの威令が行きとどいていたというエピソードでもある。
第1楽章、リズムが律動し、そこに深い闇をしめすようなメロディが絡みついてくる。「動」のリズムと「静」のメロディが拮抗するが、前者が後者を圧倒しつつも、暗い無機質的なメロディはけっして消えることなく繰り返される。
第2楽章、時の歯車を逆回転させたように、古典的な美しい旋律が追憶される。しかし、それは明朗なものではなく、暗く病的なものを抱えている。
第3楽章、両楽章で提示されたさまざまなテーマや心象が一気に否定され、激しいリズムが全体を支配する。しかもそれは一切の曖昧さを残さず、強烈なパワーをもって、他の要素を一掃する。
原曲の「暗喩」をリヒテルはすべて見切っているかのように深く弾き込んでいる。凝縮感、緊張感、そして正確に打ち下ろされるハンマーの如き打鍵の力に圧倒される演奏。
→ Classical Piano Giants にて聴取
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