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バッハのオルガンを無性に聴きたくなるひとつのきっかけは、(まったくの個人的意見ながら)少々メランコリーな心持で、一人沈思したいときではないだろうか。しかし、トッカータの原義は「触れる」という意味で、「トッカータとフーガ」は実はオルガンの「腕ならし」曲といわれれば、そうだったのか!と気分もちょっとは和み、さらに本集の終曲、『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』は、よく耳にすれば明るい導きの響きもある。
ヘルムート・ヴァルヒャの即興的な雰囲気漂う名演が、古くからひろく支持をえているのは、バッハの音楽のもつこうした「朗々さ」を見事に表現しているからではないだろうか。聴き終わったら、結構、はじめは落ち込んでいた心持が晴れて変わっているかも!推薦します。
<収録内容>(録音時点と場所)
◆トッカータとフーガ ニ短調 BWV565(1956年9月、アルクマール)
◆トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564(1956年9月、アルクマール)
◆幻想曲とフーガ ト短調 BWV542(1962年9月、アルクマール)
◆パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV583(1962年9月、アルクマール)
◆小フーガ ト短調 BWV578(1970年5月、ストラスブール)
◆コラール『主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる』 BWV639(1969年9月)
◆コラール『いざ来ませ、異教徒の救い主』 BWV659(1971年5月、ストラスブール)
◆コラール『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』 BWV645(1971年5月、ストラスブール)
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