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サティのピアノ曲。誰しもが様々な場で耳にしているのだが、そのイメージを語ることはたやすくない。受ける印象のひとつは、時間の交錯である。陽光差し込む早朝と沈思にふける深夜。これが時間の経過とともにあるのではなく、曲によって交錯する。ゆえに時間の観念に戸惑い、いまがいつか「行方不明」になるような錯覚がある。もう一つは弱音と高音の綾なす不思議な交錯である(逆に言えば強音と低音の抑制と言っていいかも知れない)。そこから玲瓏とした独特の音楽美が表現される。
なにげなく聴けばとても心地よく、集中して耳を澄ませば思索的な世界に引き込まれる。ダニエル・ヴァルサーノとフィリップ・アントルモンの演奏は深く美しい。また、一瞬吹き上げるパッションもある。2人のピアニストは思索的な世界にリスナーを寄せる名手であると思った。
→ Various: Un Siecle De Musique にて聴取
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