金曜日, 5月 25, 2018

名盤探訪 ヤンソンス ショスタコーヴィチ:交響曲第4番

ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
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当時の時代状況、作曲の経緯からながく封印された4番だが、もっとも有名な5番とはいわば双生児とでもいうべき関係にあり、内容は充実している。長大交響曲の先達、ブルックナー、マーラーの作品に学びながら、ショスタコーヴィチはすでにこの段階で独自の作風を確立している。

もともと持っている沈鬱な気風を、人々がよく知る有名作品の一部のメロディを援用し、あえてパロディ化することで緩和せんとしているようだ(これは晩年の作品まで変わらないが、一種の精神の均衡を保とうとする自己防衛性の表れであったとも考えられる)。それが当時のスターリニズムの粛清の嵐のなかで、不真面目、退嬰的と悪意をもって捉えられることを恐れたゆえのながき封印であったかも知れないが、いまとなっては曲の格好のスパイスになっている。

ヤンソンスは細心の注意を払って丁寧に演奏している。全体のバランス感に配意しつつ、ショスタコーヴィチの特質である管弦楽をパーカッションのように使いまわす手法を駆使し斬新な音楽空間をつくってみせる。並々ならぬ集中力であり、全集中でも最右翼の名演と思う(2004年2月録音)。

→ Shostakovich Complete Symphonies にて聴取


       

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