日曜日, 5月 27, 2018

ローマ三部作 名盤5点  Respighi: The Fountains of Rome, The Pines of Rome, Feste Romane

Arturo Toscanini

イタリア人は、持ってうまれた天分か、才能のきらめきを直観的に理解するような能力がある。また豊かで直情的な表現力にも優れている。こうした特質は作曲家オットリーノ・レスピーギにも、演奏家アルトゥーロ・トスカニーニにも宿っている。そして本集のローマ三部作は、この二人の感性と芸術性が共鳴した名作である。

レスピーギの良さに目覚めさせてもらったのはトスカニーニの旧盤(1945年ライヴ演奏)を通してだが、本盤は彼の最晩年の録音で、永らくの「十八番」を最後の花道にしているような完結感すらある。こうした秀でた演奏があると後継が難しいが、小生は レスピーギ:交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」 が一押しである。本盤とともに推奨したい。

シノーポリ


Art of Giuseppe Sinopoli  からの1枚。シノーポリの大胆な演奏。音のテクスチャーを深く掘り下げ、それを再構成して新境地をみせるシノーポリ流が遺憾なく発揮されている。レスピーギの「ローマ三部作」の表題性は曲者で、無理に表題に沿って聴こうとすると途中で飽きて、最後までいきつかない場合もあるのだが、この演奏のスリリングさはそれとは無縁。

表題性を一切無視して、楽曲そのものへ身を委ねると、別のイマジネーションが沸いてくる。イタリア音楽の天真爛漫さ、フランス音楽的あざとい分析癖、ロシア音楽的な荒々しい自然の息吹、それらがときに直接顔を出し、ときに混在として音の奔流となる。こんなに多様性豊かな面白い作品だったのかと膝を打つ。曖昧さのない明快な解釈とメリハリの利いた演奏ゆえであろう。この作品を世に出したトスカニーニの名演を思わず連想させる成果。


        

オーマンディ


小澤征爾


デュトワ



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