Monday, May 07, 2018

マーラー 交響曲全集 5点  Mahler: Complete Symphonies  5

Mahler: the Complete Symphonie
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ラトルがベルリン・フィルを去る日も近い。指揮者としてはいまだ「鼻たれ小僧」ともいわれる、60歳台前半にしてすでに最高峰を登りつめた彼が、これからどのような音楽活動を展開するのかが大いに楽しみだ。

そのラトルが2002年ベルリン・フィルのシェフに推戴されたのは、無名に近いバーミンガム市響CBSOを見事に鍛え上げ、ヨーロッパのスターダムにのせたことによる。しかも、引っ提げてきたキラーコンテンツの一つがこのマーラー・チクルスであったが、その録音記録の道のりは長い。CBSO、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルをふくめ、全集完成は1986年の第2番に始まり2004年の第8番まで18年に及ぶ。

ほかにもマーラー音源はあるが、本集では、2番(1986年4月~6月)➡6番(1989年12月)➡7番(1991年6月)➡1番(1991年12月)➡4番(1997年5月)➡3番(1997年10月)➡10番(クック編)(1999年9月)➡5番(2002年9月)➡8番(2004年6月)➡9番(2007年10月)の順の収録である。ラトルは律義にも、ベルリン・フィルのシェフ就任後もCBSOとのと録音も行っている。

ラトルはマーラーについて多く語っているが、「私が今指揮者なのは、マーラーがあったからです」こそが最も率直なる吐露だろう。初期のマーラー演奏は実に初々しく「どろどろした情念」などとは一切無縁。徐々にロスバウトばりに楽器、楽節の浮き彫りが鮮明になり、その後は、アバドのような明燦な演奏スタイルとなっていくように感じる。現代マーラー解釈の典型的記録であり、デジタル録音の鮮度を考慮すれば、聴いて損はない、破格の廉価盤集である(紙ケースはオリジナル・ジャケットを使用。23ページの簡易解説付き)

【収録情報】
◆バーミンガム市交響楽団(&合唱団)との演奏

・交響曲第1番ニ長調『巨人』(1991年12月)
➡ マーラー:交響曲第1番「巨人」
・交響曲第2番ハ短調『復活』:アーリーン・オジェー(ソプラノ)、ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)(1986年4月~6月)
➡ マーラー:交響曲第2番「復活」
・交響曲第3番ニ短調:ビルギット・レンメルト(アルト)(1997年10月)
➡ マーラー:交響曲第3番「夏の交響曲」
・交響曲第4番ト長調:アマンダ・ルークロフト(ソプラノ)(1997年5月)
➡ マーラー:交響曲第4番
・交響曲第6番イ短調『悲劇的』(1989年12月)
➡ マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
・交響曲第7番ホ短調『夜の歌』(1991年6月)
➡ マーラー:交響曲第7番「夜の歌」
・交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』:クリスティン・ブリューワー(ソプラノ)、ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)、ユリアーネ・バンゼ(ソプラノ)、ビルギット・レンメルト(アルト)、ジェーン・ヘンシェル(アルト)、ジョン・ヴィラーズ(テナー)、デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン(バリトン)、ジョン・レリア(バス)、バーミンガム市ユース合唱団、ロンドン交響合唱団、トロント児童合唱団 (2004年6月)

◆ベルリン・フィルとの演奏

・交響曲第5番嬰ハ短調(2002年9月)
➡ マーラー:交響曲第5番
・交響曲第9番ニ短調(2007年10月)
・交響曲第10番(クック編)(1999年9月)


マーラー: 交響曲全集/ゲルギエフ&ロンドン交響楽団 (Mahler : Symphonies Nos 1-9/Valery Gergiev, London Symphony Orchestra) (10SACD Hybrid) [輸入盤]
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 ゲルギエフのマーラー交響曲全集は、8番をのぞきすべてロンドン、バービカンホールでのロンドン交響楽団とのライヴ録音。かつ3、6、4、1、7、2、10、8、5番の9曲をこの順で2007年9月からわずか1年間で収録。50台後半のいかにもエネルギッシュなゲルギエフらしい一気呵成な対応である。手兵のオーケストラを一定期間、集中させ全番に一貫した解釈をほどこすうえではこの短期決戦のライヴ録音は有効だが、その実、相当な自信に裏づけされたものだろう。

  全般に、バーンスタイン流の強烈にパッショネイトな<没入型>でもなく、シノーポリ流の切開手術のような<分析型>でもなく、音楽構成をおおきく捉えて細部をよく彫琢し、かつメロディの美しさとリズムの躍動感を際立たせた演奏。抜群のバランス感覚を感じさせる。その一方で<没入型>、<分析型>ファン双方からは、各番、各章でなにか物足りなさを感じる部分もあろう。これが最近、相性のよいといわれるウィーン・フィルとの周到なセッション録音ならより深みのあるゲルギエフ流を聴けるのかも知れない。将来の楽しみである。

<収録データ>(録音年月日、各曲録音順)

◆第1番『巨人』(2008年1月13日)<4>
Symphony No. 1 (Hybr)
◆第2番『復活』(2008年6月5日)<6>
Symphony No. 2 / Adagio From Symphony No. 10
◆第3番(2007年9月24日)<1>
Symphony No. 3 (Hybr)
◆第4番(2008年1月12日)<3>
Symphony No.4
◆第5番(2010年9月26日)<9>
Symphony No.5
◆第6番『悲劇的』(2007年11月22日)<2>
Symphony No. 6 (Hybr)
◆第7番『夜の歌』(2008年3月7日)<5>
Symphony No. 7 (Hybr)
◆第8番(2008年7月9,10日)<8> ロンドン、セント・ポール大聖堂
Symphony No 8 (Hybr)
◆第9番(2011年3月2,3日)<10>
マーラー:交響曲第9番ニ長調 (Mahler : Symphony No.9 / Valery Gergiev, London Symphony Orchestra) [SACD Hybrid] [輸入盤]
◆第10番(2008年6月5日)<7> 
→上記2番(併録)を参照


The Complete Mahler Symphonies
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バーンスタイン/ニューヨーク・フィルは1970年に来日、マーラー交響曲第9番を東京文化会館で演奏した。高校生だった個人的な思い出だが、会場で打ちのめされたような<衝撃>を受けて以来、このマーラー像に魅せられている。

 本全集は、バーンスタイン (1918-90年)が42才から57才頃までの最もエネルギッシュな活躍の時代に録音されたが、その後の再録もあるので一般には「旧盤」と呼ばれる。8番と『大地の歌』以外は手兵ニューヨーク・フィルとの演奏で、一貫してバーンスタインの、「没入型」ともいえる独自のマーラー解釈が表現され、迸るような熱い強奏と深く沈降するような弱奏が全般に早いテンポで交錯する。ワルター、クレンペラーの世代とは一線を画し、新マーラー解釈の扉を開いたといった当時の評価が思い出される。

 録音は古くなったが、演奏の最高の質、破格の値段(CD12枚組)からみて、シノーポリのような「分析型」との対比聞き比べの妙味でも、マーラー全集選択の最右翼である。

【データ(録音年)】
第1番ニ長調『巨人』(1966年)、第2番ハ短調『復活』(1963年)、第3番ニ短調(1961年)、第4番ト長調(1960年)、第5番嬰ハ短調(1963年)、第6番イ短調『悲劇的』(1967年)、第7番ホ短調『夜の歌』(1965年)、第8番変ホ長調『千人の交響曲』(1966年、ロンドン響)、第9番ニ短調(1965年)、『大地の歌』(1972年、イスラエル・フィル)、第10番嬰ヘ長調「アダージョ」(1975年)


Mahler: Complete Symphonies Klaus Tennstedt
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マーラーの交響曲全集は多い。これを世に問うのは、いまや力量ある指揮者の「証」といった感すらある。さらに、各番別には、指揮者もオケも鎬を削る主戦場でもあり百花繚乱の状況である。

 そのなかで全集としてどれを選ぶか。私はバーンスタインとテンシュテットを好む。各番別のベスト盤では種々の見解はあろうが、マーラーという世紀末に生き個人的にも深い懊悩をかかえた稀代の作曲家がなにを目指していたのかについて、明解に、かつ追体験的に迫るアプローチとしてこの2セットは共通する。

  テンシュテットは交響曲の「完成」と同時に「崩壊」の過程、双方をマーラーにみて、その均衡と相克を各番に通底して全力で表現せんとしているように感じる。異様な迫力の部分、ゆくりなくも奏でられる美弱音の表情ともに緊迫し奥深い。彼自身、重篤な病気を圧しての足掛け16年の軌跡・・・といったセンティメントよりも、むしろ執念ともいうべき一貫した表現力への挑戦の記録(16のCD全集、5〜7番はライヴ版も収録)に価値がある。傾聴すべき遺産と思う。

なお、テンシュテットのスタジオ録音は、1番(1977年)、5番、10番(1978年)、9番、3番(1979年)、7番(1980年)、2番(1981年)、4番(1982年)、6番(1983年)、『大地の歌』(1982年、84年)、8番(1986年)の順になされ、その後のライヴとして、5番(1988年)、6番(1991年)、7番(1993年)が本集に収録されている(詳細下記)。

【収録情報】(カッコ内録音時点)
・第1番『巨人』(1977年10月4,5日)
・第2番ハ短調『復活』(1981年5月14-16日) 
エディト・マティス(ソプラノ)、ドリス・ゾッフェル(メゾ・ソプラノ)
・第3番(1979年10月27,29-31日)
 オルトルン・ヴェンケル(コントラルト)、ロンドン・フィルハーモニー合唱団女性メンバー、サウスエンド少年合唱団
・第4番(1982年5月5-7日)
→ マーラー:交響曲第4番 
・第5番(1978年5月10-12日、6月8日、10月5-7日)
・同上(1988年12月13日)ライヴ
・第6番『悲劇的』(1983年4月28,29日、5月4,9日)
・同上(1991年11月4,7日)ライヴ
→ マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
・第7番『夜の歌』(1980年10月20-22日)
・同上(1993年5月14,15日)ライヴ
・第8番『千人の交響曲』(1986年4月20-24日、1986年10月8-10日)
 エリザベス・コネル(ソプラノI:罪深き女)、イーディス・ウィーンズ(ソプラノII:贖罪の女のひとり)、フェリシティ・ロット(ソプラノIII:栄光の聖母)、トゥルーデリーゼ・シュミット(コントラルトI:サマリアの女)、ナディーヌ・ドゥニーズ(コントラルトII:エジプトのマリア)、リチャード・ヴァーサル(テナー:マリアを讃える博士)、ヨルマ・ヒュニネン(バリトン:法悦の神父)、ハンス・ゾーティン(バス:瞑想の神父)、 デイヴィッド・ヒル(オルガン)、ティフィン・スクール少年合唱団
・第9番(1979年5月11,12,14日)
 アグネス・バルツァ(コントラルト)、クラウス・ケーニヒ(テナー)
・第10番嬰ヘ短調 第1楽章「アダージョ」(1978年5月10-12日、6月8日、10月5-7日)
・『大地の歌』(1982年12月、1984年8月) 


People's Edition
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ドイツ・グラモフォン (DG)とDECCAレーベルの共存。うち後者は、メータの『復活』、ショルティの『千人の交響曲』、シャイーの交響曲第10番を所収。DECCA音源のほうが代表的な名演かも知れない。
録音時点は1967年(クーベリックの『巨人』)から2001年(アバドの『夜の歌』)までばらけるが、いずれも巨匠とスーパー・オケによる好録音でありはずれがない。なお、第10番を取り上げる一方、『大地の歌』は入っていない。詳細は➡をご覧いただきたい。

【収録情報】(Lはライヴ音源)
・交響曲第1番『巨人』クーベリック/バイエルン放送響(1967年10月)
➡ Mahler: Symphony No. 1, Lieder / Rafael Kubelik, Fischer-Dieskau

・『花の章』小澤征爾/ボストン響(1977年10月)
➡ 交響曲 第1番 ニ長調《巨人》(〈花の章〉付き): 第2楽章:花の章

・交響曲第2番『復活』イレアナ・コトルバシュ(ソプラノ)、クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)、メータ/ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン・フィル(1975年2月)
➡ マーラー:交響曲第2番「復活」

・交響曲第3番:アンナ・ラーション(アルト)、アバド/ロンドン交響合唱団、バーミンガム市立少年合唱団、ベルリン・フィル(1999年10月L)
➡ Mahler: Symphony No. 3

・交響曲第4番:エディト・マティス(ソプラノ)、カラヤン/ベルリン・フィル(1979年)
➡ マーラー:交響曲第4番

・交響曲第5番:バーンスタイン/ウィーン・フィル(1987年9月L)
➡ マーラー:交響曲第5番

・交響曲第6番『悲劇的』バーンスタイン/ウィーン・フィル(1988年L)
➡ マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

・交響曲第7番『夜の歌』アバド/ベルリン・フィル(2001年5月L)
➡ Sym 7 (Em)

・交響曲第8番『千人の交響曲』 ヘザー・ハーパー(ソプラノ)、ルチア・ポップ(ソプラノ)、アーリーン・オジェー(ソプラノ)、イヴォンヌ・ミントン(メゾ・ソプラノ)、ヘレン・ワッツ(アルト)、ルネ・コロ(テノール)、ジョン・シャーリー=カーク(バリトン)、マルッティ・タルヴェラ(バス)、ショルティ/ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン年合唱団、シカゴ響(1971年8月&9月)
➡ SINFONIE 8

・交響曲第9番:ジュリーニ/シカゴ響(1976年4月)
➡ Mahler: Symphony No. 9

・交響曲第10番:シャイー/ベルリン放送響(1986年10月)
➡ Mahler: Symphony no 10 / Chailly, RSO Berlin


 

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